認知症と情動

認知症になっても感情は残っている

大脳新皮質は、記憶・思考・判断などの高次認知機能を司っており、認知症の場合はここの働きが低下します。大脳新皮質はいわば電卓であり、100円の電卓もあれば高機能の電卓もありますが、動かさなければどちらも意味がありません。

電卓をどうやって使うかを決めるのは大脳辺縁系であり、それは感情(情動)です。認知症になっても情動は以前と同じように残っている方が多く、情動をより働かせることでBPSDを抑えたり、その人本来の優しさを回復させることができる ということが東北大学藤井教授らの研究で証明されています。

認知症を予防できるのか

情動=感情の中でも、喜びや楽しいといった歓喜的情動は苦悩的な情動に比べて何倍もの良い刺激を与えることがわかっています。楽しい状況が続けば歓喜的情動が出やすい体質になります。
認知症が進行したBPSDの方に歓喜的情動療法を施したところ、無口だった高齢者が一転してスタッフとのコミュニケーションが取れたり、食事がひとりでできるようになったりといった生活の改善が認められました。認知能力は向上しませんが情動が豊かになったことで日常の質を上げることができたのです。

歓喜的情動は認知症になっていない方にも有効です。歓喜的情動を豊かにし、周囲の人と話したり積極的に社会と関わりを持つことでコミュニケーション能力が高まり脳が活性化されます。
歓喜的情動には幸せホルモン=セロトニン、オキシトシン、ドーパミンが放出されますが、これらは認知症予防に有効とされており、記憶力や学習能力が上がることが期待できます。